EA(エキスパート・アドバイザー)を使用するメリットとデメリット

FXトレーダーのほぼ全員が、どこかのタイミングでシステムベースのアプローチを試すことになります。

そしてFXトレーダーのほぼ全員がEA(Expert Advisor)というものを見つけ、EAを使うか裁量トレードを行うかを考える事があります。ここではEAを利用する主なメリットとデメリットを紹介します。

目次

EA(Expert Advisor)とは?

日本国内においてFXと株式投資の主な違いの一つとしてMetaTraderというある程度ブローカー共通のプラットフォームソフトウェアが存在する事が挙げられます。このMetaTraderというものでオリジナルツールをプログラミングする事が可能です。さらには自動売買システムを使用、開発する事が可能です。

この自動売買システムをEA(Expert Advisor)と呼びます。

トレーダーの中には、既存のトレード手法をプログラム化してEAに変換することを好む人もいればEAを購入して使用する人もいます。この記事の目的はEAの購入やオリジナルEAの作成を勧めることではなく、EAを使用する一般的なメリットとデメリットを紹介します。

EAを使うメリット

トレードルールを守りやすい

トレードはシンプルだが簡単ではないとよく言われます。その理由は、私たちの脳の仕組みがマーケットで良い結果を出す事と真逆のように対立しているからです。マーケットで自分の気分のままにトレードを行うと途端に資金トラブルに直面しやすい傾向があります。逆に、自分の気分や直感と反するようにトレードを行うと最高の利益を生む事が多かったりします。

裁量トレーダーは、当然人がトレードするので自身の感情と対峙してトレードルールを守る必要がありますが、かなり困難です。一方、時間と労力をかけて、ルールに基づいた取引手法を作り上げ、それをプログラミングしてEAに変換したトレーダーは、トレードルールを守る事が簡単になります。EAはルールに沿ってプログラムが稼働して自動トレードを行いますのでトレードルールを守る事は当然というか簡単に可能です。

トレードの迅速化

自身がどのようなトレード手法を使用していたとしても、できるだけマーケットの動きに迅速に反応し最も効率的な方法で取引を実行することが重要です。これは、取引時間枠が小さくなればなるほど重要になります。例えばスキャルピングトレードでチャートを見逃したり判断が遅れてトレードも遅くなり数pips利益が減っていく事が続くと、資産運用結果に差が出てきます。

短時間のトレードを行うトレーダーは、トレードの遅れを減らすためにあらゆる試みをしなければなりません。しかしEAは、人間が肉眼で見るよりもはるかに速くトレードチャンスの検知ができトレード自体も早くできます。

時間の効率化

裁量トレーダーがマーケット、チャートに向き合える時間は1日のうちで限られています。一般的には、仕事と生活の両方のスケジュールに合わせて、トレードに一定の時間を割くことになります。

一方でEAを導入することで、マーケットやチャートを確認する時間を短縮することができます。EAは一定のトレードルールにそって24時間マーケットとチャートを確認しているようなものです。

また、人間のトレーダーでも24時間マーケットを見る事は難しいですが、完成したEAは一日に何回でも取引を行うことができ、手間も時間もかかりません。このため、EAを使用するトレーダーは他の趣味や気になる事に時間を使うことも可能です。

感情をなくしたトレードが可能

私たちが気づいているかどうかにかかわらず、マーケットにおける行動や意思決定は、感情が大きな役割を果たすことがあります。裁量トレードを行っている時に自分の感覚を完全に制御し、資産が増えるような適切な行動ができてると思いがちですが、ある調査の結果、ほとんどの場合そうではないことが分かっています。

マーケットにおける恐怖と欲の影響はとても大きいので感情を無くすことは難しくて当然です。EAは感情的になることなくマーケットでその機能を実行します。EAを活用する大きなメリットは、公平な方法でトレードの状況に集中するのではなく、感情に頼りすぎるという罠に陥るのを防ぐのに役立つということです。

バックテストと検証が容易になる

すべてのトレーダーは使用しているトレード手法についての指標を知っている必要があります。勝率、平均利益、平均損失、最大ドローダウン、連勝数、連敗数、プロフィットファクターなど、様々なパフォーマンス指標が含まれます。

これらの指標を見る良い方法の1つはバックテストを実行することですが、裁量トレーダーにとってバックテストはかなり面倒です。

EAの場合はバックテストをパラメーター設定とボタンのクリックで実施できる機能がMetaTraderにあります。

バックテストを簡単に行い、勝率などの数値も簡単に分かります。パフォーマンスの向上を狙ってトレード手法のパラメーターを変えて再度バックテストを行う事は裁量トレードの場合どの程度手間がかかるかが分かると思いますが、EAのバックテスト機能を使えば簡単にテストを実施できます。

EAを使うデメリット

ブラックボックスシステム

(ゼロから自身でプログラミングしてEAを開発した場合は当てはまりません)
EAを購入して使用する場合に、特にこのデメリットを感じます。簡単に言うとEAがドローダウンした瞬間にそのEAを使い続ける事が非常に困難になることです。

もちろん裁量トレードを使っている場合でも、大きく損をした時にそのトレード手法をやめたくなるのですが、EAを購入してそのトレードロジックの根幹を知らないままに大きく損をしたり連敗を行うと、例えそれが一時的な偶発的なものだったとしてもブラックボックスのところがあるので疑いを持ってしまうのです。

過剰最適化されたパフォーマンス結果

トレーダーは過去のデータを使ってEAのパフォーマンスを評価します。しかし、データやパラメーターを何度も設定(最適化)すると最終的にどんな結果でも出すことができます。ただ、そのように出来上がったEAは過去においては過剰なほどいいパフォーマンスを発揮しますが肝心な未来においてはいいパフォーマンスを出し続ける事は限りなく低いです。

システム開発者や会社からEAを購入しようとする場合は、提供されるパフォーマンス結果が過剰最適化していないことを確認する事がとても重要です。
現実的な取り組みとしては購入前、もしくは購入した後にデモ口座でフォワードテストを行う事で過剰最適化が分かります。

システムの不具合が発生する可能性

EAのようなシステムトレードを行う場合、システム自体や関連するハードウェア部品に発生しうる様々なシステムの不具合の可能性を考える必要があります。コンピュータのクラッシュ、ソフトウェアのアップデート、停電など、EAの性能に直接影響を与えるような技術的な問題が発生することがあります。

理想だけ言うと、EAを使用しているシステムやその周辺のインフラを定期的に検査する必要がありますがトレードの時間も限られている中でなかなか難しいかもしれません。

その場合はパソコン(サーバー)をレンタルして使うことでシステム・インフラ周りをそのレンタル会社に相談する事が可能になります。
よくVPSと呼ばれる仮想プライベートサーバーを使うサービスがあるのですがそのVPSを使うことが多いです。

VPSのコスト

EAは適切なパラメーター設定をして24時間稼働させることでトレードチャンスを最大化する事ができます。自宅で24時間パソコンをつなげることが非現実的な場合にVPSと呼ばれる仮想プライベートサーバーを使うことでインフラ問題も含めて解決する事ができます。ただ、もちろんコストがかかりますのでコストに見合った検証やトレードができるかが大事なポイントになってきます。

初期資金を十分に用意できない場合もVPSにコストをかけれないケースも考えられます。

トレードスキルが身につかない

トレードで成功するためにはトレードスキルを身につける事が重要である事は分かると思います。ですがこのトレードスキルはコンピューターの画面の前に座って値動きを何年も観察して初めて身につけることができます。

EAに頼ってトレードする事は、もちろんメリットもありますがトレードスキルを高める事にはなりません。

永遠に勝てるEAはなかなか無いので、将来EAを買い替える時にトレードスキルが高まっていなければより良い判断をしたEA購入ができないかもしれません。あまりにEAに依存しすぎると、自分のトレードスキルを上達させずに将来的に不安になるように自分自分で行動しているようなものかもしれません。

まとめ

EAを使ったトレードが適しているかどうかを決める前におさえておくべきいくつかのメリットとデメリットを概説しました。メリットとして

  • トレードルールを守りやすい
  • トレードの迅速化
  • 時間の効率化
  • 感情をなくしたトレードが可能
  • バックテストと検証が容易になる

があり、デメリットとして

  • ブラックボックスシステム
  • 過剰最適化されたパフォーマンス結果
  • システムの不具合が発生する可能性
  • VPSのコスト
  • トレードスキルが身につかない

がありました。ピックアップしたポイントの中で自分が気になる事があれば、それを重要視してEAを使うか使わないかを考えると良いと思います。

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この記事を書いた人

黒田悠介のアバター 黒田悠介 トレーダー、データサイエンティスト、プログラマー

FXの検証やツールを作成する中で、GogoJungle社からも推薦され投資ナビを連載していました。また、FX情報商材を販売しないかというお誘いも色々な人から何度もいただきました。しかし、表舞台に立つことは苦手なのでお断りをしてきました。代わりに当サイトのオリジナル特典として購入者にFXツール、EAなどを無料でもお配りしていて、これまでに累計2400人以上の方にお配りしています。

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