現代において人工知能(AI)という言葉は色んな場所で聞くようになりました。当然トレードや投資の世界でも言われています。無料で使える人工知能プログラムもありますので、当然の事ながら
- 人工知能にビッグデータを適用して、未来の相場を予測できないか?
- 未来を予測してトレードで勝てないか?
という考えも出てきます。
また、専門的なプログラムで勝てたとしても微々たるもの(2年程度かけて、私が1日で勝つ金額くらいしか稼げないetc)という結果になっています。
この記事では、失礼が無い程度に引用をしながら人工知能で予測したトレード結果などを紹介するとともに、そもそも人工知能で予測する事がナンセンスだ、という目の付け所を変えた方が良いのではないか?という紹介をします。
人工知能で予測した結果⇒勝てない
ドル円その1
例えば、rmseというモデル等を使って予測をした結果、以下のような結果になりました。
これは、人工知能を使って約5年間の相場のデータをもとに学習させて直近のドル円の予測をしたのですが
予測結果は精度が高いとあまり言えないものになった。
とのことでした。
ドル円その2
SARIMAという時系列モデルを使って予測をすると以下のようになりました。
何となく予測はできていますし、この制度の予測でもけっこう凄いのですが、実際のトレードで使えるレベルではありません。以下の記事から引用をしています。
ドル円その3
具体的な画像などは紹介しませんが、ご自身の人工知能を使った結果を以下のようにおっしゃる方もいました。
ディープラーニングでFX(ドル円)のレート予測正解率88%を叩き出す聖杯プログラムが作成出来たと思って喜んでいたのに、本番データで予測させたら「分からない」を連発するポンコツ
いわゆるEA(Expert Advisor)と同様にカーブフィッティング(過剰最適化)をしてしまって、実際のトレードではうまくいかない結果になったのかもしれません。
その他にも色んな方がマーケットを予測したいがために人工知能をあれやこれや使いまわすのですが、あまりいい結果は見えませんでした。
10年分人工知能に学習させると2年以上時間が必要
勝てないうえに、もう1つ残念なのが、事例としてAIに3つのパラメーターだけ持たせて、10年分のバックテスト(学習)を行った場合に2年以上計算し続ける事になるという事態です。
この3パラメータの上限と下限を400と10とすると、全パターンの計算回数は
390 ^ 3 = 59,319,000回です。
5分足で10年分のバックテストを行うと、pythonは計算が遅いので10秒くらい掛かります。CPU:8コアのパソコンで並列計算すると必要な計算時間は次の通りです。
59,319,000 / 8cpu * 10秒 / 3600秒 / 24時間 = 858日計算時間858日です。100台のPCで分散計算しても9日掛かってしまいます。
全パターン計算することを線形探索と言います。
こういう時に役立つのがAIのモデルの1つである遺伝的アルゴリズムというものです。
遺伝的アルゴリズム、遺伝的プログラミング⇒少しだけ勝てる?
遺伝的アルゴリズム、遺伝的プログラミングの詳細な説明は省きますが、多くの中から割と最適なものを探し出すのに優れているAIモデルの1つです。計算もシンプルで早いです。
トレード手法やインジケーターのパラメーターの設定の組合せは無限にありますが、その中から比較的最適なものを探すという意味でトレードに向いている手段かもしれません。
遺伝的アルゴリズムと遺伝的プログラミングは別物なのですが2つを組み合わせると以下のような結果になります。
そもそも人工知能で予測するのがベストなのか?
当サイトでは、人工知能とFXに関連する様々な情報や論文を調べてきたのですが、どれも似たようなアプローチを行っています。それは
というアプローチです。ですが、巷で使えるような人工知能でマーケットの予測ができていたらとっくにみんなやってるでしょう。
そんな人工知能がもしできたとしても、巷には広まらないでしょう。勝てなくなるから。
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