個人トレーダー VS AI、bot
この記事を書いているのは2022年6月なのですが2,3年前に以下のようなニュースが話題になっていました。
かつて米証券会社大手ゴールドマン・サックスには500名のトレーダーが在籍していたが、AIトレードの普及で今では3名になっている。
AIとはもちろん人工知能のことですが、年月が経つに伴いAIやbotなどの自動トレードがますます活性化してきているはずです。
FXにおいては個人トレーダーがMT4やMT5を使っている時に機関投資家やヘッジファンドはAI、botというプログラムを導入しています。
機関投資家やヘッジファンドは個人トレーダーをカモにするので
この記事ではAIやbotの特徴的なトレードの1つであるHFT(High frequency trading)について紹介していきます。
HFT(エイチエフティー)とは?
HFTについては多くの大手証券会社のサイトで以下のように定義されています。
HFT(エイチエフティー)とは、High frequency trading(ハイフリークエンシー・トレード)の略称。コンピュータのプログラムにより、株の自動取引を行う「アルゴリズム取引」の一種。
大半は専門業者やヘッジファンドによる取引で、独自のプログラムに基づいて膨大な売買を行い、わずかな価格差で利益を得ようとするもの。対象は、株式、外国為替、各種先物やオプションなど多岐にわたっている。
シンプルに言うとトレーダーの買い注文が出た後(つまり価格が分かってから)、超高速で先回りして高く売りつけるというプログラムなのです。
個人トレーダーが
- スマホ、PC⇒証券会社⇒取引システム
という順序を経てトレードするのに対し
HFTは
- 高速取引の専用設備⇒取引システム
という順序でトレードします。
機関投資家やヘッジファンドは大量の資金も持っているのでこうなると何でもアリな状態になります。
これだけだと個人トレーダーがやられるだけなのですがHFTはさらに厄介な問題を引き起こすと言われています。それはレート・価格の極端な乱高下でフラッシュクラッシュと呼ばれます。
もはや投資ではなく、アルゴリズムの競争
機関投資家やヘッジファンドの間でも日々競争が行われています。
具体的にはできるだけトレード時間を縮めようとします。僕たちが頑張ってクリックを連射すれば通用するようなレベルではなくて
できるだけ時間を縮めて他のヘッジファンドや個人トレーダーを出し抜こうとします。
昔の投資のようなファンダメンタルやテクニカルを見るのではなく他のトレーダーによるレート変動に関する情報を見る感じです。
最近、相場の急落や急騰が多くありませんか?
日本経済新聞(日経)の記事でHFTについて以下のようなものがあります。
取引価格のゆがみをとらえて、割高なものを売り、割安なものを買うという取引が多い。多くはその日のうちに反対売買で決済するため、相場全体の値動きを抑制する効果があるとされる。ただ、プログラムの不具合で株価が急落したり、短時間で値動きが増幅したりする例もある。
また、複数のヘッジファンドのHFTシステムの時間差によって
これによってフラッシュ・クラッシュが引き起こされると言われています。
私は本格的にFXトレードを始めたのが2010年頃なのですがその頃のレートの動きは2022年と比較すると穏やかでのんびりしたものでした。
連鎖反応のようにレートの急騰や急落が見られるようになったのは2010年以降に顕著になってきます。
- 2010年 ダウ・ジョーンズのフラッシュクラッシュ
- 2014年 米国債券市場のフラッシュクラッシュ
- 2015年 英国FTSE 100のフラッシュクラッシュ
- 2015年 ダウ平均再びフラッシュクラッシュ
- 2016年 英ポンド/米ドルのフラッシュクラッシュ
- 2017年 イーサリアムのフラッシュクラッシュ
- 2017年 貴金属先物(銀)のフラッシュクラッシュ
- 2019年 ドル円と豪ドル/米ドルのフラッシュクラッシュ
これ以降もレートの急騰や急落がいたるところで見られるようになりました。
フラッシュクラッシュほどではありませんが、ポンドドルでも3週間程度の期間で以下のようなボラティリティになっています。
AI(人工知能)、botに勝つ方法はあるのか?
そう思うトレーダーもいらっしゃるかもしれませんが、よく考えて見てください。
- 機関投資家やヘッジファンドが開発しているAIはおそらく優秀
- 個人トレーダーを搾取する方法はいくらでも知っているはずで、これまでも搾取してきた
- AI(人工知能)、botに勝たなくても良い
最後のポイントが重要です。いくら相場がAIだらけbotだらけになっても、何もまともに対決しなくても良いのです。
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