
この記事を見たあなたに質問があります。
ChatGPTやGeminiにEAのコードを書かせたことはありますか?
ちなみに2025年12月現在、AIはかなり完成度の高いコードを一瞬で書けますのでそこからEAを作成することは簡単にできます。
しかし、AIが作成したコードやEAで実際に資産が増え続けている人はいますか?おそらく「No」のはずです。
私自身もFX以外の仕事でAIや機械学習をめちゃくちゃ使っていますので、そういう観点からもAIで勝てるトレードロジックを作成することの根本的な困難な理由を紹介します。
なぜAIは「勝てるロジック」を作れないのか?
以前のメルマガで
- AIに、勝てるゴトー日EAを作ってもらった結果
- AIに、勝てる朝スキャEAを作ってもらった結果
ということで実際に試した結果を紹介しました。
基本的にはボロ負けでして、EA作成自体はできるけど実際の運用には使えないというレベルでした。



他の人のEAですが、おそらくX(Twitter)で比較的著名な人が開発したAI搭載のEAですが、以下の状況です(公開1か月で-25%)。



AIと聞くと万能なイメージがありますが、実際にはめちゃくちゃ負けるEAしかできません。なぜこのような結果になるのでしょうか?
それはAIの正体と相場の性質にミスマッチがあるからです。
AIの正体
AI(LLM)は「確率的に正しい言葉」を並べるのが得意です。プログラミングも言葉の羅列であり正解もあります。AIはそういうものについてはネット上の膨大な知識もあるのでかなり早い対応ができます。
ですが、その延長でAIにトレードロジックを教えてもらおうとしても、ネット上の「教科書的な知識(=大衆が負けているロジック)」を「正解」として学習してしまっているので、AIにEA作成をお願いしても負けているロジックでEAが作られます。
相場の性質
一方で、相場は「聖杯」がありません。言い換えれば「不変の正解」がありません。仮に、ネット上で勝てる手法が広まると相場はそれを織り込んで動きを変えます。そしてその手法は勝てなくなります。




コンピューターウイルスとセキュリティソフトの
イタチごっこにも似ている状況になります
僕も、勝てている自作EAのハイドアウトやGridFlexの手法詳細を公開することはしません。勝てなくなる可能性が高くなるだけだからです。
AIに
- 「勝てるロジックを考えて」
- 「勝てるEAを作成して」
と頼むのは、「次の宝くじの当たり番号を教えて」と聞くのと同じです。
文法的に正しいコードは書けても、未来の利益は保証できません。
例えば、複数のAIに自動売買させた結果をリアルタイムで掲載しているアルファアリーナというサイトがありますが、そこでは多くのAIは負けています(12月13日時点)。



プロ(機関投資家)のAIと何が違うのか?
ですがプロはAIや機械学習はゴリゴリに使っています。ただ、個人トレーダーでが決してできないような使い方をしています。
多くの人が抱くAIトレードのイメージは「チャートを高速分析して売買」だと思うのですが、実際にプロは「チャート以外」も見ています。(FXじゃないものも含めますが)例えば
- 衛星写真解析で原油タンクの在庫を見る(石油価格の売買で使用する)
- 要人発言の声のトーンを解析する
- 取引所の隣にサーバーを置き、マイクロ秒単位で注文を出す
もっとあるのですが、これだけでも個人トレーダーではすぐに真似できないレベルなのが分かると思います。個人トレーダーと機関投資家では「情報の次元」が違います。
例えばnoteというプラットフォームで販売されているトレード×機械学習の内容って以下のようなものです。



例えば上記のような販売物は、チャートだけを見て機械学習するだけです。




これだけでも課題・問題があるのですが
それはこの後言及します
プロはチャート分析は当然やるでしょうが、別次元の情報解析もしています。チャートを見てこねくり回す個人のAIや機械学習とは戦っている土俵が違います。
機械学習による「自動最適化」の罠
ちなみに、EAやBotに機械学習の要素を入れることは実際には可能です。例えば「相場に合わせてロジックを自動で変えるAI」は理想的に聞こえますし、構築することは可能です。
ただし、AIや機械学習を実際に行う場合にはGPUと呼ばれる高速処理専用のプロセッサーが事実上不可欠です(GPUありで3分、GPUなしで処理をしたら5時間かかるようなレベル)。
個人のPCレベルでは計算処理が追い付きませんし、ましてや機関投資家が用意しているだろうPCスペックには到底適いません。
できることとしては「直近の相場に合わせすぎる(カーブフィッティング)」です。ですが、そのAIや機械学習で分析するのに個人のPCでは時間を要しますので「学習が終わった頃には、相場が変わっている」という状況になります。
これでは永遠に後追いになって非常に勝ちづらいです。
では、個人はどう戦うべきか?
例えば以下のようなアプローチが有用です。
時間軸をズラす(スイング・長期)
昨今のAIや機械学習は基本的に「秒〜分」の変動を取りに来ます。例えばデイトレードやスイングトレードのような比較的長期間のトレードだとAIに対抗できる可能性があります。
AIが入れない場所に行く(流動性の隙間)
プロは資金が大きすぎて、(FXではありませんが)例えば小型株やマイナー通貨では売買できません。自分の売買でマーケットが大きく歪むからです。AIが入れないニッチな環境を選ぶのが大事で例えば僕のハイドアウトはここで勝負しています。
「文脈」を読む
戦争、選挙、突発ニュースに注目するのもアリです。AIは「過去データがない事象」に弱いのでこの部分では人間が優位です。
AIへの見方を改める
AIと聞くと万能なイメージがありますが、実際に本業でAIや機械学習を駆使している僕も自信を持って言えることがあります。
AIは「魔法の杖」でも「天才トレーダー」でもありません。ただの「優秀な翻訳者・計算機」です。
「AIに全自動で稼いでもらおう」という思考を捨てて、逆にAIを有用な「ツール(コーディング補助、検証ツール)」
として使うべきです。2025年も最後に勝つのは「ツール(AI)に使われる人」ではなく「ツール(AI)を使いこなす人」です。
2026年もAIに関する話題とトレードにAIや機械学習を絡めたものが出てくると思うのですが、
参考になりましたら幸いです。










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