ボリンジャーバンド(通称ボリバン)というテクニカル指標はおそらく
ほぼ全員が知っていると思います。
しかし、なぜか間違った使い方が世に広く出回っていて、
このせいで大損したり、下手して破産するトレーダーが続出しているので、
一度ここでその間違いを紹介したいと思います。
ボリンジャーバンドとは?
wikipediaで見ると、このようなものらしいです。
[perfectpullquote align=”full” cite=”wikipedia” link=”https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%82%AF%E3%83%8B%E3%82%AB%E3%83%AB%E6%8C%87%E6%A8%99%E4%B8%80%E8%A6%A7#.E3.83.9C.E3.83.AA.E3.83.B3.E3.82.B8.E3.83.A3.E3.83.BC.E3.83.90.E3.83.B3.E3.83.89″ color=”” class=”” size=”15″]トレンド系のテクニカル指標。考案者はジョン・A・ボリンジャー (John A. Bollinger)。
一般には逆張りに分類されることが多いが、ボリンジャーは順張りに使用している。
(中略)
背後にある理論としては、値動きの正規分布を前提としている。
ただし、現実としては、平均からの誤差は正規分布から大きく離れた分布となる。
そのため、あくまでも、ボラティリティを測る尺度として、
誤差の二乗平均平方根が使われているに過ぎない。
(中略)
投資判断は、トレンドが出ているときは
終値が上のバンドを上抜いたら買い、下のバンドを下抜いたら売り。
レンジ相場のときは逆パターンに利用される。[/perfectpullquote]
ボリバンのことは、書籍やインターネットで広くわかりますので、
wikipediaを見るトレーダーは意外に少ないかもしれません。
ここで「あれ?」と思うトレーダーもいるかもしれませんが、
注目すべきところが2つあります。
1つは
>一般には逆張りに分類されることが多いが、ボリンジャーは順張りに使用している。
もう1つは
>背後にある理論としては、値動きの正規分布を前提としている。
>ただし、現実としては、平均からの誤差は正規分布から大きく離れた分布となる。
です。
もう少し掘り下げましょう。
ボリンジャーバンドのシグマ(偏差)
ボリンジャーバンドでは、
シグマ(σ)というキーワードが出てきます。
別名、偏差とも言います。
上のボリンジャーバンドの画像で言うと、
黄色が2σで白色が3σです。
「そもそもシグマって何やねん?」と思うかもしれません。
このシグマは「標準偏差」と言います。
MetaTrader④では「偏差」「devitation」と表示されています。
標準偏差、正規分布
標準偏差とは何か?
を詳しく言うと、物凄く難しくなるので
一言で言うと
「ばらつきを表す度数(正規分布において)」
のことです。
シグマが大きいほど、大きくばらつくことになりますが、
常識で考えるとその確率は低くなります。
逆に言えば、そのシグマ内でローソク足が収まることになり、
実際のチャートでいうと、
●±1σの範囲内に収まる確率・・・約68.3%
●±2σの範囲内に収まる確率・・・約95.4%
●±3σの範囲内に収まる確率・・・約99.7%
となります。
逆張り手法
上のような規則があるため、
シグマの線を超えると、それはレアケースであり、
ローソク足の動きが逆になるだろう、
と考えて逆張りで使うケースがとても多いです。
その逆張り手法は証券会社でも当たり前のように紹介しています。
例えば外為オンラインさん。
↓
[perfectpullquote align=”full” cite=”外為オンライン” link=”https://www.gaitameonline.com/academy_chart02.jsp” color=”” class=”” size=”15″]ボリンジャーバンドでは、
(1)為替レートがバンドに対して、どの位置にあるか?
(2)バンドが広がっているのか狭まっているのか?
という2点に注目します(図2)。
図2:ボリンジャーバンドの見方
(1)に注目した場合は、まさに逆張りの発想で、「為替レートが+2σを越えたら上昇し過ぎなので売り、
-2σを越えたら下落し過ぎなので買い」という判断をするのが一般的です。
反対に(2)の場合は、「バンドの幅が広がって為替のボラティリティが急上昇しているので、
その方向性についていく」といった順張りの判断に使います。
(画像も引用させていただいております。)[/perfectpullquote]
一般のサイトやブログでも同様で、
ボリバンの使い方の1つとして逆張りを挙げているところが多いです。
しかし、ここで前に記載したことに再度注目したいです。
1つは
>一般には逆張りに分類されることが多いが、ボリンジャーは順張りに使用している。もう1つは
>背後にある理論としては、値動きの正規分布を前提としている。
>ただし、現実としては、平均からの誤差は正規分布から大きく離れた分布となる。
相場で正規分布はあり得ない
ボリンジャーバンドでは正規分布を前提としているのですが、
実際の相場では正規分布のようなローソク足が動くことはほぼありません。
なぜか。
ここを統計学的に正しく言うと、物凄い記事の量になるのでごく簡単に言うと、
トレーダー一人一人が狙っている価格が違うし、
投資している金額も違うし、トレードタイミングも違うので、
仮に1人1人では正規分布があるとしても、
全トレーダーを足し合わせてもバラバラの正規分布なので
相場全体として正規分布になることはあり得ない。
からです。
そのため、ボリンジャーバンドの2σや3σを信じ切って、
シグマのラインにローソク足がタッチしたからと言って、
逆張りでエントリーしても、そのエントリーには
何の理論的根拠は無いのです。
勘でエントリーしているのと変わりません。
実際にFXやバイナリオプションでも
ボリバンを頼りに逆張りエントリーで負けて、
やはりシグマのラインにタッチしたので逆張りエントリー⇒負ける
という負のループを繰り返しているトレーダーが多いです。
ボリンジャーバンドの正しい使い方
ボリンジャーバンドは逆張りでは無く、
順張りで使うべきなのは
考案者のジョン・A・ボリンジャーが
wikipediaで書いている使い方を見ても分かると思います。
ではどのように使うのか。
ここで押さえておきたいキーワードが
「スクイーズ」
「エクスパンション」
です。
スクイーズ
スクイーズというには、ボリンジャーバンドが上下ともにほぼ平行になっていて、
そのボリバンの間をローソク足が上下するという状態で、
主にレンジ相場で現れます。
この時はボリバン的にはエネルギーを貯めている状態です。
このエネルギーが爆発(エクスパンション)した時に、値動きが激しくなります。
(トレンド相場になります)
エクスパンション
エクスパンションは、上記のスクイーズの後によく見られる状態で、
バンドの両端が大きく開くことを意味します。
ローソク足が上下に激しく動きトレンドを形成していきます。
値動きとも上下のボリバンとも広がる状態をエクスパンションと呼びます。
ボリバン全体が上がるような状態はエクスパンションではありません。
「スクイーズ」「エクスパンション」で相場の状況を見る
ボリバンの使い方としては、
「スクイーズ」「エクスパンション」でレンジ相場、トレンド相場を見定めて
トレンド相場になったときに、ローソク足が動いた方向に順張りでエントリー、
という使い方が適切です。
もちろん完璧ではないでしょうが、
少なくともボリバンを逆張りに使うと、とんでもなく資産を失いかねません。
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